

魔法のフライパンの素材である「鉄鋳物」。
従来の厚みは4~5mm。無謀ともいえる1.5mmの開発に費やした歳月は10年。
なぜそれに挑んだのか?
そして、何がそれを支えたのか?
開発ストーリーに迫ります。
バブル崩壊、それは典型的な下請け企業には、厳しい時代のはじまりでもあった。時代を生き抜くためには、体力勝負の価格競争ではなく、独自の技術を磨くことを決めた。
倍の技術では追いつかれる、そう思い目標は3倍難しいことにした。
苦しい開発期間を支えたのは「君の代わりはいくらでもいる」と言われた悔しさだった。
来る日も来る日も研究を続ける中、ある失敗が奇跡を生んだ。
10年の歳月を経て「変わりはいくらでもいる」と言われた中小企業は、誰も見たことがない、「魔法のフライパン」を完成させた。
【開発ストーリーが本になりました】
魔法のフライパンの開発に欠かせなかったのが、長年培った精密鋳造技術。
小さな機械部品を手がけるうちに、着実に鋳造技術は磨かれていた。実にJIS規格の1/20の寸法公差を実現する、他社がまねできない高度な精密鋳造法を確立した。
工業部品の加工時間を短縮し、コストダウンに貢献するこの技術を応用することで「魔法のフライパン」が完成しました。
| 試片 | L側縦 | L側横 | L側差 | R側差 | R側縦 | R側横 |
| 1 | 31.0 | 31.0 | 0.0 | 0.1 | 31.0 | 30.9 |
| 2 | 31.0 | 30.9 | 0.1 | 0.1 | 31.0 | 30.9 |
| 3 | 30.9 | 31.0 | 0.1 | 0.0 | 31.0 | 31.0 |
| 4 | 31.0 | 30.9 | 0.1 | 0.0 | 31.0 | 31.0 |
| 5 | 31.0 | 30.9 | 0.1 | 0.1 | 31.0 | 30.9 |
| 6 | 30.9 | 31.0 | 0.1 | 0.1 | 31.0 | 30.9 |
| 7 | 31.0 | 31.0 | 0.0 | 0.0 | 31.0 | 31.0 |
| 8 | 31.0 | 30.9 | 0.1 | 0.1 | 31.0 | 30.9 |
| 9 | 31.0 | 31.0 | 0.0 | 0.1 | 31.0 | 30.9 |
| 10 | 31.0 | 31.0 | 0.0 | 0.0 | 31.0 | 31.0 |
■鋳放し直系寸法及び直系の許容差(JIS B0407)(参考資料)
|
(単位 mm) |
||||
| 寸法の区分 | ねずみ鋳鉄品 | 球状黒鉛鋳鉄品 | ||
| 精級 | 並級 | 精級 | 精級 | |
| 10以下 | ±1 | ±1.5 | ±1.2 | ±2 |
| 10を超え18以下 | ±1.5 | ±2 | ±1.5 | ±2.5 |
| 18を超え30以下 | ±2 | ±3 | ±2 | ±3 |
| 30を超え50以下 | ±2 | ±3.5 | ±2.5 | ±4 |